イタリアこぼれ話(13)「鉄道の駅に改札はない」

日本の鉄道の駅には、通常、改札口があります。現在では都市部の改札口には、自動改札機が設置されている場合が多いでしょう。

しかし、イタリアの鉄道の駅には、地下鉄を除くと、原則的に改札がありません。

それでは、どのようにして列車に乗るのでしょうか?

まずは切符を買う。これは日本と同じです。

20年以上前、私が滞在していた頃は、大きな駅には自動券売機がありましたが、故障が多かったらしく、ほとんどのイタリア人は使っていませんでした。

ですから、時期や時間帯によっては窓口は大混雑して、切符の購入までに30分以上かかる事も珍しくありませんでした。

そのため、時間に制約がある場合には、事前に切符を購入しておくか、乗車当日の場合は、かなり早めに駅へ向かう必要がありました。

さて、切符が無事に購入出来たら、目的の列車が発車するホームへ向かうわけですが、前記のように、イタリアの駅には改札口がありません。

だからと言って、そのまま目的の列車に乗ってしまうと、高額な罰金を取られる事になります。

ホームへの入口付近にある、箱形の刻印機に切符を差し込み、切符にその時の日時を刻印する必要があったのです。

イタリアの鉄道の切符は、購入後、かなり長期の有効期間があります。記憶によれば有効期間は60日間だったと思います。

ですから、その有効期間内なら、いつでも1回使用する事が出来るのですが、ホーム入口の刻印機で日時を刻印すると、乗車距離に応じた一定の時間内に目的地へ到着する必要があるのです。

たとえば刻印後、近距離なら6時間、中距離なら12時間以内に、目的地に到着する必要がある、といった具合です。

当然、到着駅にも改札はありませんので、切符の回収も行われません。

すなわち、乗車前に日時の刻印を怠ると、その切符を別の日に再利用しようとした不正乗車と見なされて、罰金を徴収されるのです。

イタリアでは、車掌が頻繁に車内を巡回して検札を行うので、無刻印の罰金を逃れることは困難です。

ちなみに車掌は、職業柄、驚異的な記憶力を保有しているようで、一度、検札を行った乗客に、再度、切符の提示を求めることは、ほとんどありません。

見事に、それ以前の巡回時には着席していなかった乗客にのみ、切符の提示を求めていました。もちろん日本のように、手元の座席表にチェックを入れる、等という作業は行っていません。

なお、イタリア人の友人は、もし刻印を忘れたら、検札に来る前に、自分から車掌を探して申し出れば、罰金を免除される、と言っていましたが、私は刻印を忘れた経験がないので(笑)、その真偽のほどは分かりません。

なお、本稿に限らず、本シリーズの情報は20年以上前のものなので(2021年5月記)、現状とは大きくズレている可能性があります。

例えば、近年はローマやミラノ等の、大都市の中心駅では、ホーム入口で切符のチェックを行っているという情報を耳にしました。それにより、大都市の駅構内の治安が、大幅に改善されたそうです。

また日本でもそうですが、インターネットで電子チケットが購入出来るようになったり、自動券売機も普及しているようです。

ただし、電子チケット等を除けば、乗車前に日時の刻印が必要な制度は継続しているようですので、注意が必要です。

byなおいー

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イタリアこぼれ話(13)「鉄道の駅に改札はない」」への2件のフィードバック

  1. 日本人の感覚として、それで成り立っているのが凄いと思います(;゚ロ゚)

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