本書には、霊媒である《水波一郎師》が、《霊魂》の協力を得て作成された、剣術や剣をテーマにした、2つの短編歴史小説が収められています。
話の展開が速く、緊張感に満ちているので、短時間で一気に読むことが可能です。
たいへん読みやすいので、普段、あまり読書をしない方にもお勧めです。
しかし、この2つの小説が、通常のものと異なるの点は、前記のように、それらが『霊魂の協力で作成された小説』である、という点でしょう。
もっとも、本当に霊魂の協力によって作成されたのかどうか、それを客観的に証明する手段は存在しませんので、肯定するのも否定するのも、読む方の自由なのかもしれません。
けれども、本作品に漂う、連続した独特の緊迫感が、本作品がただの創作ではなく、実際にあった出来事を、見聞していた《霊魂》によって小説化されたものである、と物語っているのではないでしょうか?
ある意味では、現代の日本ほど、人間は誰でも必ず死ぬという現実や、神仏・霊魂の存在が、日常の意識から、遠のいている時代はないと言えるでしょう。
特に、都会で文明の利器やコンクリートに囲まれて生活していたら、なかなか、死や神仏等を意識する機会は、得にくいと言えるでしょう。
しかし、私達は人間である以上、もっと、日常生活の中で肉体の死を直視し、神仏への信仰心を大切にする必要があるのではないでしょうか?
自身が、いずれ必ず肉体の死を迎える、という現実を直視するからこそ、「死んだらどうなるのか?」「死後の世界はあるのか?あるとすれば、どのような世界なのか?」「死後の世界で困らないために、今、為すべきことがあるのか?」「霊魂とは?」「神仏とは?」等々、様々な疑問に対する、回答を求めたくなるものではないでしょうか?
現代の日本に生きている私達は、平和な時代を生きているようで、実は砂上の楼閣で、戯れているだけなのかもしれないのです。
本書の中の主人公達の時代と現代、はたして霊的に幸せであったのは、どちらなのか?
どちらが霊的に進歩した時代と言えるのか?
私達は、一番大切なものを忘れてしまったのではないか?
面白いだけではなく、そのようなことを、深く考えさせられた小説でした。
byなおいー
確かに、この書籍の時代の方々からご覧になられたら、現代の私たちはぬるま湯に漬かりきって見えるかもしれませんね。
昔であれば、天上からの光は、正に神々からの光であったことでしょう。今はただの雲間からの光でしかないけれど・・・。
こんな時代に神伝禊法が降りたことの意味を、もっと嚙み締めねばなりませんね。
「仮想の剣」は「侍」が好きだったり、「武」を志したことがある人には、大変興味深い内容だと思います。「霊の剣」は、暗雲低迷の現代を予想していた高貴なる方々の偉大さに、敬意を表さずにはいられません。
武士たちの命がけの日常が分かって面白いです(´艸`)
武士や侍に興味のある方はぜひ読んでみて下さい!(*≧∇≦)b